Thank you Good night!YMOトリビュート

~「目指したのは “いいバンド”」小池実さん(前編)

小池実

1968年生まれ。楽器メーカー勤務を経て、現在はさまざまなライブ活動に参加。今回は技術者目線でバンドの音をコーディネートする「音楽監督」と、仏頂面でのベースを担当。

(画像:YMOトリビュート)


「その演奏じゃダメでしょ」

 (今回主催の)小林さんとの関わりは10年前くらいからです。(小林さんの)2回目のYMO再現ライブのとき、ある方に「サウンドチェックから来てください」と言われました。

 

 当日のお昼に行って、ステージ裏から入ってびっくりした。「あ、すごい。道具全部揃ってるじゃん」って。そこで「シンセベースの音色を作ってくれ」って言われたんです。それでその場で作った。

 

 ところが本番を聴いたら、演奏が今ひとつだった。機材は本物と同じなのに、腕が追いついてない、もったいないって思っちゃった。それでライブが終わった後に「こんなにいい道具なのに、その演奏じゃダメでしょ」って言っちゃった。「僕に監修させればもっと良くなる」って。そりゃあ向こうはムッとしますよね。好きでやってるのに、知らないヤツにいきなり噛みつかれたんですから(笑)。

監督のチェックポイント

 それから1、2年して小林さんから呼ばれました。「あのとき、監修するって言ったよね」って。それで3回目の渋谷での再現ライブを監修しました。「監督」と呼ばれるようになったのはそこからです。それを2008年、2010年の2回やりました。

 

 僕がチェックしたのは、まずリズムがちゃんとしているか。それからコピーが合っているか。それと、一番大事なモニタリングです。

 

 ああいう、リズムがシビアな音楽では「返し」がちゃんとしてないといけない。モニターで音を返して、他のパートを聴きながら自分のパートも混ぜて演奏する。それがなかったらぐちゃぐちゃになっちゃうんです。なのに、そのバンドにはモニターという概念がなかった。それでモニター用の機材を入れてもらって、第一関門が突破できました。

 

 あとは個々のプレイについて、どうしたらもっとそれっぽくなるか、具体的なところに入っていく。たとえばドラムにしても、スネアの高さとか、ベースの弾き方とか、そうなるには理由があるんです。それをちゃんとしないとあのリズムになっていかない。でもやっぱり、慣れてない人はやり辛いから、どうしてもやりやすいように弾く。すると当然似なくなります。だから一つの形になるように、そういう細かいところを直していったんですね。そういう「監督」を2回やった。それからは、何年も空いていました。 

画像:YMOトリビュート

トリビュート実現まで

後編へ続く)


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