Thank you Good night ! YMOトリビュート

~「俺、何のためにやってんだ」小林淳一さん(前編)


小林淳一

1967年、小田原生まれ。YMO、特にマニピュレーターの松武秀樹氏に大きな影響を受け、YMO再現バンドO-SETSU-YやYMO楽器展など数多くのライブやイベントに関わる。今回、長年の夢であったトリビュートライブを企画・主催し、自らも坂本龍一役でキーボードを担当した。

(画像:YMOトリビュート)

香津美さんキター!!

 ステージ上から客席を観ると、涙を拭ってる人が結構いたりして、不思議な気持ちでした。今までやってきたライブとかでは、そういう情緒的な雰囲気っていうのはなかったので。

 

 私がYMOのコピーライブをやるようになったのは高校生の時ですが、2000年頃、都内でYMOコピーバンドのイベントを見る機会があって、10年振りに火が付いちゃった。ステージセットや機材で当時を疑似体験出来るようなライブをやってみたくなって、2005年から再現ライブというイベントを不定期に企画開催しました。ゲストに松武秀樹さん、橋本一子さん、藤本敦夫さんを迎え、当時のライブを疑似体験するイベントを実現する事もできました。

 

 30年以上YMOファンをやってきて、今回は自分の中でも集大成にしたいという思いもあり、1979年のライブを再現してみたかった。でも香津美さんが出演した1979年当時のライブをやるのは敷居が高かったんです。演奏技術的にも大変と思っていたし、まして「世界の渡辺香津美」といわれる、ギタリストの神様のような方に、私たちが「一緒にやってください」なんて口が裂けても言えるわけがない。そういう意味で、香津美さんと共演なんて非現実的だと思っていました。

 

 そんな中で、運営スタッフとして参加した2014年のYMO楽器展のトークイベントに、香津美さんが出演して下さったんです。その打ち上げの時に、その場の雰囲気で「香津美さん、私たちのトリビュートイベントに出てください!」と言ったら「いいよ」と言ってくれた。あとで松武さんに「お前、とんでもないこと言ったな」と言われました(笑)。でもそれから今回の共演まで3年かかりました。

 

 2017年の1月頃に松武さん経由で「今年の夏ぐらいにいかがでしょうか」と打診はしていました。でもアルバム制作も入っているし、スケジュール的に難しいだろうなと思っていました。そしたら突然「この日ならいいよ」とピンポイントで連絡が来たんです。それが6月。本番まで2ヵ月ですよ(笑)さすがにそれは無理だろうと思ったんですけど、このチャンスを逃したら実現出来ないかもしれないって・・。

 

 会場の東京キネマ倶楽部は、もともとそこでやろうという話をしていました。70年代の雰囲気が残っていて、YMOがヨーロッパツアーをした時の会場に似ていた。でも2ヵ月前じゃ難しいだろうなと思いつつ問い合わせたら、香津美さんが指定したその日と前日がたまたま空いていた。会場確保出来たら、もうやるしかないでしょ(笑)

 

 幸い、前から「トリビュートやるときはお願いします」と言っていたメンバーたちとも何とか調整つけられた。「あのタイミングじゃなかったら無理だった」と言われたくらい、タイミングが良かった。

(画像:YMOトリビュート)

見えないところで何かが動いていた

 松武さんとの最初の関わりは2000年頃からです。ライブやイベントに出向いて、松武さんにお目にかかる事が多くなっていました。その頃は、サインを貰ったりする普通の一ファン。それでよく顔を合わせるんで「あー、いつもありがとう」なんて言ってもらう中で、「この後打ち上げやるから来る?」みたいに、徐々に声をかけてもらえるようになりました。

 

 初めてYMO再現ライブをやった2005年は、地元(小田原)のホールを借りて、仲間だけでやりました。80年のステージセットの中で当時の機材を並べて演奏して、YMOの疑似体験をしたかった。だからお客さんはゼロでもいいやと。ビデオに録って「ああ、楽しかったね」となればそれで良かった。でもライブ開催の告知をSNSに投稿したら、神奈川の端っこのホールに、全国から300人くらい集まってくれた。ステージセットや機材も同じように揃えてライブをやって、お客さんもそれなりに入った。そうすると、ライブ写真もそれっぽく見えたんです。

 

 次の年に2回目のライブやる際、そのライブ写真を入れたパワポ資料を作って、松武さんに「再現ライブというイベントを開催したいので、ぜひ松武さんにゲストで出演して欲しい!そこにタンスを持ってきて頂けませんか」ってプレゼンした。そしたらその場で引き受けてくれたんです。また同じホールでやって、今度は500人近くの人が集まってくれました。

 

 ある時、そのライブレポートを見た人からメールが来たんです。「お願いしたいことがあるので会えませんか?」って。都内でお会いしたら、広告代理店のプロデューサーの方でした。内容は「まだ内密ですが、YMOが1日だけ再結成してCMを撮るので、協力してもらえないか」という話だった。それが2007年に放映されたキリンビールのCMです。本番の撮影はシンプルな機材でしたけど、最初はYMOの当時のライブシーンという設定だったんです。それで当時の機材も全部撮影スタジオ持っていって、スタンバイしてました。カメラテストではお三方の代役もさせて頂いたんですが、私達がRYDEENを演奏するシーンを、当の御三方に目の前で見られているっていう状況が、すごい怖くてね(笑)。「俺、いま何してるんだろう」っていう気持ちしかない。御三方にも「今回撮影機材を提供してくれてるファンの人たちです」って紹介されて、ファンとして接点を頂けたのは嬉しかったです。自分たちが再現ライブをやった事で、周りが自分達を押してくれてるような、何かが動いている感じがあったんですよね。

俺、何のためにやってんだ

後編へ続く


関連記事