work-0001

私は鯛なり

<はじめに>

本作品は、私が長年購読している無料メールマガジン「TOEICリスニング・リーディング特効薬!」(東京SIM外語研究所)から着想し、日本語の文章を英語の語順で書いたらどうなるかという語学的興味から生まれた試行作品です(うそ。遊びです)。

 

原文はもちろん宮沢賢治の「雨にもまけず」ですが、これを選んだ理由は

・世間一般によく知られている
・試行するのに長さが適当である
・著作権が切れている
・自分が好きな文章である

という条件に合致していたからで、文学的な挑戦など何らの他意はありません。

当然ながら、宮沢賢治を冒涜する意図は全くありません。

パロディではなく、オマージュと捉えていただければと思います。

 

変換ルールは下記の通りです。

・英文の基本文型SVOCとする
 ・字数や活用は変えず語順だけ替える
・助詞は前置詞に該当するとして名詞や形容詞の前につける
・動詞の否定形は英語に準じて否定の助動詞+動詞とする
・複数行に渡って文型を構成している場合は適宜行を入れ替える
・従って全体として文型が逆なので原文の末尾を冒頭に持ってくる

 

 わたしはなりたい → わたし は I  なり  become たい want to → I want to become → わたしは たい なり

画像提供:来夢来人


 

わたしはたいなり


わたしはたいなり
そういうにもの
にもずまけ雨
にもずまけ風
ずまけにも雪にも暑さの夏
もちを丈夫なからだ
なくは欲
決してずいから
いるいつもわらってにしずか
たべと四合玄米
とみそを少しの野菜に一日
よくし見聞き、わかり
そしてずわすれ
をあらゆること
ずに入れをじぶんにかんじょう
にいて小さな小屋のかやぶき
のかげの林の松の野原
あれば子供の病気に東
行ってしてやり看病
あれば母疲れたに西
行って負いをたばのその稲
あれば人死にそうなに南
行っていいなくてもいいこわがる
あればやけんかがそしょうに北
いいとやめろからつまらない
ながしをなみだはときのひでり
あるきおろおろはのさむさなつ
よばれとでくのぼうにみんな
ずせもられほめ
ずされにもく

 

2017-10-07