上級編(聖書研究レベル)
3つのステップ、最後は聖書全体を通して読むことでわかる、聖書研究レベルです。
photo by Youichi UeDA
初級編では、クリスマスは何の日なのかを書きました。
中級編では、なぜイエスの誕生を祝うのかを書きました。
とは言え、大多数の人にとっては「イエスは世の救い主」というのは単なるファンタジーで、実際にイエスを自分の救い主とは思わないでしょう。それは無理もないと思います。端折りすぎだからです。上級編では、「イエスはあなたの救い主」という聖書のメッセージを解説します。キーワードは「神」「罪」「救い」です。これは聖書を説明するときの、3つの重要なキーワードです。
ちなみに「イエスが救い主」というのは、直接には新約聖書に書いてあります。キリスト教はイエス・キリスト以降、つまり新約聖書だけ使うと思われがちなのですが、それは違います。旧約聖書と新約聖書はセットです。「こういう経過で人には救いが必要だから、こういう形で救い主が来る」と約束しているのが旧約、「その約束された救い主はナザレのイエスだ」と約束の実現を証言しているのが新約です。約束と実現が対になっていますから、どちらも欠くことができません。つまり聖書とは何かと言えば、旧約と新約の全体を通してイエスが救い主であることを伝え
ている書物なのです。
聖書(テーマ「人の救い」)=旧約聖書(約束「こういう救い主が来る」)+新約聖書(実現「イエスがその救い主」)
(1)神
聖書は、この世界を造った神がいることを大前提としています。神がいなければ、聖書に書いてあることはすべてが絵空事です。では神は本当にいるのでしょうか?その神は、聖書に書かれているような神なのでしょうか?それをここで手短に述べるのは難しいですが、聖書がそのような神を前提として書かれていることは、覚えておいていただきたいのです。そして、そんな神はいないと思うのなら当然、世界はなぜ存在するのか、人間がなぜいるのか、別の答えを用意する必要があります。
地球が天の中心と考えられていた時代、天体の動きを説明するためには恐ろしく複雑な軌道が必要でした。しかし太陽を中心に置いた途端、それはシンプルに解決したのです。
今、天文学ではすべての力を統一的に説明できるはずだとして、大統一理論や、超弦理論が提唱されています。
真実はシンプルだというのはこのように、ごく一般的で自然な受け止め方でしょう。
世界や生命がなぜ存在するのかも、同じではないでしょうか。「神がいる」とは、この世界や生命を説明しようとする他のどんなものより、シンプルで筋道の通ったことです。そして、もし世界を造った神がいるのなら、それは世界の中で生きている私とも関係がある、ということです。
(2)罪
神がいるという前提に立って、人とその神はどのように関わって来たのか。それを書いてあるのが聖書です。
神は人に、神に従って歩むように命じました。しかし、人はそれを守れませんでした。聖書は早くも創世記の3章で、人が神に背いたことを描いています。そのことで、人は「罪」を持つものとなりました。それは現象としての罪(crime)ではなくて、罪の性質(sin)です。神ではなく、自分を中心にするという性質。人はそのような罪ある存在だというのが聖書の一貫した主張です。実際聖書に書かれているのは、神に従うと言っては反抗し、神の怒りを招いて悔い改め、それでもまた背き、の繰り返しの記述です。それは単に聖書にしるされた一民族のことではなく、私自身の姿でもあります。聖書を通して、そのような自分の中の罪の性質に気づくのです。
(3)救い
聖書には、人は罪を持っていることが書かれていますが、ではそのような人を神はどうするのでしょうか。
他人に対して罪(crime)を犯したら、相応の処罰を受けたり、責任を取るのは当然のことです。では神に対する罪(sin)は、どのように処理されるのでしょうか。神が定めている罪の処理は、体の死と、魂の永遠の滅びです。ですから私は、私自身の罪によって死んで滅びるのです。当然そうなるはずでした。しかし神は聖書の中で、イエスを信じるものは滅びることなく、永遠の命を持つと約束しています。
そうすると「ではイエスが生まれる前の人はどうなるのだ」とよく言われますが、実は、これはイエスの生まれる前から言われていることです。
「彼は多くの人たちの罪を負い、そむいた人たちのためにとりなしをする」(イザヤ書53章10節)。
つまり、神に目を向けて自分の罪を認め、神が備える救いの道を信じること。これが人に求められていることなのです。救いの道は示されています。それがイエスです。だからイエスの誕生を喜ぶのです。
聖書のメッセージを読み解く3つのキーワード「神」「罪」「救い」を説明しました。
クリスマスは、この世に救いをもたらす唯一のお方が来たことを喜ぶ日です。どうぞ良いクリスマスをお過ごしください。
番外編を書きました!
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